大判例

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東京高等裁判所 昭和24年(ネ)741号 判決

この判決は被控訴人において金四万円に相当する担保を供すれば勝訴の部分につき仮に執行することができる。

二、事  実

控訴人は原判決を取消す。被控訴人の請求を棄却する。訴訟費用は第一、二審とも被控訴人の負担とするとの判決を求め、被控訴人は控訴棄却の判決を求めた。

当事者双方の事実上の陳述は、被控訴人において本件素材杉賣買の履行方法は神奈川縣神中線星川駅のレール渡である。本件賣買取引が、物價統制令違反の契約であることは否認すると述べ、控訴人において、最初山崎金藏が山口高から木材を買受けたときには、神奈川縣神中線星川駅レール渡の約定であつたことは認めるが被控訴人が山口高から直接買受けた際の履行方法は秋田縣和田駅渡であつて、同駅から神中線星川駅までの輸送費用は被控訴人において負担する約定であつた。なお山崎金藏と山口高との昭和二十一年一月の木材賣買取引及びこれを継承した被控訴人と山口高との昭和二十二年八月の木材賣買取引はいずれも物價統制令に違反した法律上無効の契約である。即ち昭和二十一年一月における杉材の公定價格は一石金四十五円、昭和二十二年八月における同公定價格は一石金八十円であるのに山口高、山崎金藏間の本件取引は一石金七十五円で山口高被控訴人間の同取引は一石金百二十五円で取引され、いわゆる闇取引であるから法の保護を受けられないものである。右無効の取引を原因として昭和二十二年八月二十三日された合意解除に基く本件契約も亦無効であつて控訴人は被控訴人の本訴請求に應ずる義務がないと述べた外は原判決事実摘示と同一であるから茲にこれを引用する。<立証省略>

三、理  由

被控訴人の主張事実は、被控訴人と山口高間の木材取引における履行方法を除き、総て控訴人の認むるところである。そうすれば控訴人は被控訴人に対し連帶保証人として代金返還債務金十五万円と、これに対する利息債務金一万一千八百七十五円、契約諸費用の賠償債務金一万円、合計金十七万千八百七十五円中から弁済のあつた金五万円を差引いた金十二万千八百七十五円と、これに右債務の予定遅延損害金五万円を加算した金十七万千八百七十五円から、更に山口高が弁済した内金四万五千円を控除した金十二万六千八百七十五円の支拂義務があるものといわねばならぬ。

控訴人は本件賣買契約は物價統制令所定の價格を超えた額を以て賣買代金としたものであるから、契約は無効であると主張するが、右は被控訴人の否認するところであり、控訴人は物價統制令違反の價額であるという点については何等の立証をもしないし、又物價統制令違反の廉があつても、斯様な契約は公定價格を超過する部分の代金債務を発生させる効力がないだけで契約全体が無効となるものでないから、該契約を履行することなく合意解除して既に支拂つた代金の返還、これに対する利息金の支拂、契約費用の賠償及びこれが不履行の際における予定遅延損害金の支拂を約定することは総て有効としなければならない。從つて控訴人の抗弁は採用の限りでない。

被控訴人は本訴において前示認定金額に対する本件訴状送達の翌日である昭和二十三年二月十一日から支拂が終るまでの年五分の遅延損害金の支拂を求めているが、本件契約当事者間では予定遅延損害金としてはその額を金五万円と定めておるのであるから、これ以上更に遅延損害金を請求することはできないものであり、殊に利息金一万一千八百七十五円遅延損害金五万円に対し、更に年五分の遅延損害金を請求するようなことは特約又は元本に組入れの手続のない限り許されるものでない。從つて被控訴人の金十二万六千八百七十五円に対する遅延損害金の請求は棄却しなければならない。そうすれば原審がこの点に関する被控訴人の請求をも認容したのは失当であつて、その部分に対する本件控訴は理由があるが、その他の部分については理由がないから、これを棄却しなければならないものとし、民事訴訟法第三百八十四條、第三百八十六條、第九十六條、第九十二條、第百九十六條を適用して主文のように判決した。

(裁判官 中島登喜治 箕田正一 小堀保)

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